土地を売る前に
自分の土地はいくらで売れる?
安く売って損しないための相場の調べ方
簡単にいうと
近くで実際に売れた、条件の似た土地の「1㎡あたりの価格 × 自分の土地の面積」が、売却相場を考える出発点です。まず価格帯をつかみ、その後、不動産会社の査定で土地ごとの違いを確認します。
安く売って後悔しないためには、一社の提示額やネットの売出価格だけで決めず、「その金額の根拠」と「費用を引いて残るお金」を比べることが大切です。
「2,000万円と言われたけれど、本当はもっと高く売れるのでは?」。この疑問に答えるには、希望額ではなく、買主が支払った価格を手がかりにします。ただし、隣の土地でも条件が違えば価格は変わります。この記事では、相場を調べる → 査定を比べる → 売り方を決める順に整理します。
「売りたい価格」と「売れる価格」は分けて考える
実勢価格は、実際の取引で決まる価格です。ネットの物件広告に3,000万円と載っていても、その金額で売れたとは限りません。査定価格も、買主が約束した金額ではありません。
- 01 · 売る前に見積もる
査定価格
不動産会社が見積もる
参考にした取引事例と、想定する売却期間を確認。
この金額で売れる保証ではない - 02 · 売りに出す
売出価格
売主が会社と相談して決める
広告に掲載する金額。実際に売れた価格とは分けて読む。
買主に提示する価格 - 03 · 売買が成立する
成約価格
売主と買主が合意する
条件の似た土地の事例なら、相場を考える材料になる。
実際に契約した価格
売却の流れに沿った整理です。3つの金額が同じになることも、異なることもあります。
価格の区別:不動産適正取引推進機構「不動産売買の手引」(令和7年度版、冊子5ページ)。
自分の土地の相場を調べる、3つの手順
1.近隣で実際に取引された「土地」を探す
国土交通省「不動産情報ライブラリ」の不動産価格情報で、都道府県・市区町村と取引時期を選び、土地の事例を探します。土地と建物をまとめた価格を、土地だけの価格として使わないようにしてください。
まず直近の時期から見て、事例が少なければ期間や地域を広げます。古い事例しかない場合は、最近の価格と同じだと決めつけず、不動産会社にも現在の状況を確認します。公開情報だけでは個別の土地の事情まで分からないため、一件で判断せず、比べられる事例を複数集めましょう。
2.近さだけでなく、土地の条件をそろえる
同じ町の平均より、条件の似た土地が参考になります。住宅用の土地なら、住宅用としての使いやすさを比べます。次の項目をメモすると、査定額が違う理由も質問しやすくなります。
| 確認項目 | 比べるポイント |
|---|---|
| 場所・交通 | 同じ生活圏か。駅までの距離や利用できる交通は近いか。 |
| 面積・形 | 広さが大きく違わないか。形、間口、傾斜などに違いはあるか。 |
| 接道 | 道路の種類・幅、道路に接する長さを確認する。 |
| 用途地域 | 建てられる建物の種類・規模などの条件を、自治体の資料で確認する。 |
| 引き渡す状態 | 建物や残置物があるか。境界の確認や測量は済んでいるか。誰が何の費用を負担するか。 |
| 取引時期 | いつの売買か。比較する事例の時期が大きく離れていないか。 |
条件に差があるからといって、自己判断で一律に「角地なら10%増」などと補正する必要はありません。違いを書き出して、査定の説明で確かめるほうが、根拠のない上乗せや値下げを避けられます。
3.公示地価・基準地価で地域の価格水準も確認する
当サイトの地域ページでは、公示地価・基準地価の地点や価格の変化を確認できます。近隣の条件が似た地点を選び、取引事例と大きく離れている場合は、その理由を調べましょう。
地域の平均・中央値をそのまま自分の土地の売却額にはしません。当サイトは現在、公示地価・基準地価を掲載しており、土地の取引価格・成約価格は掲載していません。実際の取引は上記の国土交通省の情報で確認してください。
指標の使い分けは、公示地価と基準地価の違い・一物五価の解説で確認できます。
計算例:100㎡の土地なら、いくらが目安?
条件の似た土地の事例を集め、単価を比べるイメージです。以下は説明のための架空の数値で、実際の取引データではありません。
| 事例 | 面積 | 取引総額 | 1㎡単価 |
|---|---|---|---|
| A | 100㎡ | 2,000万円 | 20万円 |
| B | 120㎡ | 2,880万円 | 24万円 |
| C | 150㎡ | 4,200万円 | 28万円 |
自分の土地が100㎡の場合
20〜28万円/㎡ × 100㎡
= 2,000〜2,800万円
この幅は、事例の単価を面積に掛けた比較の出発点です。自分の土地の査定額や売れる範囲を保証するものではありません。
例えば2,200万円の査定が出たら、「安すぎる」と即断するのではなく、A寄りの条件なのか、Cと比べて何が違うのかを聞きます。逆に3,200万円の査定なら、事例より高い理由と、その価格で買主を探す見通しを確認します。
総額だけだと広い土地ほど高く見えるため、まず1㎡単価、次に自分の面積での総額を比べるのがポイントです。㎡単価と坪単価を混ぜないよう、単位もそろえましょう。
面積と単価から総額を計算する高い査定を選ぶ前に、聞きたい5つのこと
自分で調べた価格帯を持って、複数の不動産会社に同じ土地の状態・同じ売却期限で査定を依頼します。次の質問を同じように聞くと、数字だけでは分からない違いが見えてきます。
- どの取引事例を参考にしましたか?
場所、時期、面積、価格を確認。広告の価格か、実際に成立した価格かも区別します。
- 事例と私の土地の、どの違いを価格に反映しましたか?
道路・形・建築条件など、価格が上下する理由を具体的に説明してもらいます。
- この価格は、どれくらいの期間で売る想定ですか?
早めの売却を想定した価格と、時間をかけて試す価格は分けて聞きます。
- この金額は、仲介での見積もりですか、会社が買い取る提示額ですか?
買主を探す売却と、会社自身が買う取引では条件が違います。価格に加え、支払い時期と費用負担も確認します。
- 売主が負担する費用と、引き渡しの条件は何ですか?
測量・解体などを行う前提か、現状のままか。同じ価格でも、負担する費用が違えば残るお金は変わります。
少しでも高く売りたいなら、価格と見直しの条件を決める
最高額の査定は、最高額で売れる約束ではありません。売出価格を決める際は、根拠のある価格帯と希望額を分けて相談します。「いつ販売状況を確認するか」「問い合わせが少ないときは何を見直すか」まで決めると、理由の分からない値下げを受け入れずに検討できます。
不動産会社に売却の仲介を依頼する契約を媒介契約といいます。価格だけでなく、販売活動の内容や報告方法も確認しましょう。国土交通省の消費者向け案内で、契約の種類と業務の範囲を確認できます。
損を避けるために、最後は「手元に残るお金」で比べる
高い価格で売れても、費用を多く負担すれば手取りは減ります。売却額と一緒に、次の項目を見積もってください。
| 比べる項目 | A案 | B案 |
|---|---|---|
| 売却額 | 2,500万円 | 2,400万円 |
| 費用 | −300万円 | −100万円 |
| 費用を引いた残額 | 2,200万円 | 2,300万円A案より100万円多い |
A案は100万円高く売れても、費用を引いた残額はB案より100万円少なくなります。金額だけでなく、どの費用を売主が負担する条件なのかもそろえて比べましょう。
この例では、税金・借入返済を省いています。実際に使えるお金を知るには、それらも確認してください。費用の金額は相場や目安を示すものではありません。
- 売却の費用:仲介手数料、印紙代、必要に応じた測量・解体・登記など。
- 返済するお金:土地などを担保とする借入れがあれば、残債と返済に伴う費用。
- 税金:売却で利益が生じる場合の所得税・住民税など。取得時の費用や特例の適用によって変わります。
税金は売却代金の全額に一律で掛かるものではありません。土地・建物の譲渡所得は、売却収入から取得費・譲渡費用などを差し引いて計算します。国税庁「譲渡所得の計算のしかた」で確認できます。
希望額よりも、「この条件で売ったら、いつ、いくら残るか」。ここまでそろえて比較すれば、価格が低く見える提案も高く見える提案も、理由を確認して選べます。
よくある疑問
公示地価に面積を掛ければ、売れる金額が分かる?
地域の価格水準を考える参考にはなりますが、個別の売却額は分かりません。公示地価の地点と自分の土地の条件、評価日と売却時期の違いを確認し、実際の取引事例と査定を合わせて判断します。
相場より高く売り出せば、損をしない?
希望する価格で買う人が見つかるとは限りません。相場と離れた価格を試すなら、売却期限や保有中の負担、販売状況を確認する時期も一緒に考えましょう。
近所の取引事例が見つからないときは?
期間や地域を広げつつ、土地の条件が近い事例を探します。それでも比較材料が少なければ、無理に単価を決めず、不動産会社に事例が少ない場合の査定方法と根拠を説明してもらいましょう。
まず、自分の地域の価格を確認する
地域の基準を調べ、似た土地の取引を探し、査定の理由を聞く。この順に、売却価格を判断する材料をそろえましょう。
地域の土地価格を調べる